しかし今後の最悪の場合を想定して日程を若干変更。
予定よりも一日早く、今日はゲントに行くことにした。
バーフ大聖堂
東フランドルの中心地、ゲントはブリュッセルの西にありICで40分の距離である。
訪問の目的はバーフ大聖堂にあるヤン・ファン・アイク作「ゲント祭壇画」通称「神秘の仔羊」を見ることにある。これは油絵の具による絵画史上最高の部類に入ることはまちがいない。これはヤンの兄、フーベルトとの共作であるがフーベルトは謎の人物でほとんど知られていない。ヤンには他にも傑作が残されているがフーベルトはこの一点のみである。
今日一日この絵一点だけだとしても充分以上だと思える程の傑作であった。
聖バーフ教会も建築、装飾、空間ともにかなり素晴らしい。
地下にある博物館も想像以上に充実していた。
写真は当然撮れないのでこれはイメージです。
その後繊維ホールにある鐘楼に昇る。
鐘楼の巨大なオルゴール。
町の中心を流れるレイエ川にそって、中世からギルドによって栄えた町並み、市場を見、フランドル伯居城まで歩く。
大肉市場内部
フランドル伯居城
ゲントのデザインミュージアムを偶然見つけたが時間がなく入れなかった。
その後駅に歩いて戻る途中、1936年に建てられたアンリ・ヴァン・デ・ヴェルデのゲント大学図書館を見る。正面に見えるのが図書館の高層部。
最後は駅の近くにあるゲント美術館へ。
この美術館も展示空間、展示物ともに豊かである。
ボッシュ、アンソール、クノップフ、マグリットなどを見る。
しかし特筆すべきは特別展で何とピラネージの大展覧会をやっていたことだった。
まるで長旅をする私の為に用意されたような展覧会であった。ローマを巡りながらずっと「帰国したらピラネージをちゃんと見なきゃ」と密かに思い続けていたのだ。
ここでも何度か書いたがローマ人がローマに気づいた最初の人々の中に確実にピラネージはいたのだ。
これだけまとまったオリジナル(といっても大半は銅版画であるけれど)ピラネージを見ることはもうないのではないかと思う。
ピラネージ
「神秘の仔羊」といい、ピラネージといい至福の一日となった。
しかしこの日、失われた荷物は届けられなかった。
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