しょうがないのでその駅で顔を洗い、次の列車に乗る。
結局リンツに到着したのは7時過ぎとなった。
リンツ、ドナウ川
駅で朝食をすませ、駅から少し遠いホテルに荷物を預ける。ブルックナーハウスでイヴェントを見る為あらかじめ予約しておいたワンデイチケットを発行してもらう。
コンペティション部門展覧会場で無事武藤君、正田さんと再会。
武藤君は学生時代ムトゥーと呼ばれていた。多分そのころ何故か踊るインド映画がブームだったせいだと思う。この4月にイギリスで会ったユミッペと同級である。現在は国際メディア研究財団の研究員で、科学技術振興機構さきがけの研究者でもある。この夏はロスで行われているシーグラフにも作品が招待され大活躍中である。となりのショーダさんも7年前の卒業生で現在勝井先生の事務所でデザイナーをしている。二人は夫婦であるが僕らは学生のときの名前のままショーダさんと呼んでいる。今回僕がカメラを駄目にしたというとすかさず彼女は「私のを使って下さい」という(彼女のカメラも僕が使っていたのと同機種なのであった)。ここらへんの臨機応変の心使いがさすがです。ありがたくカメラを一日借りることに。
まずはOKセンターという建物でコンペ部門のその他の受賞作品も含めてムトゥーに案内してもらう。
武藤君の作品。
以前東京で見せてもらったものに比べ格段の改良が加えられ(プロダクツの完成度と、そのオブジェの動きに合わせて外環境の色彩のウオールがアナログで視覚的に変化することを加えて)ぐっと良くなっていました。このレヴェルになるとコンセプト云々はむしろ邪魔(説明的になってしまうの)で作品の完成度のみが問題なのだと実感できました。
とにかく展示物の中でも完成度が図抜けて高いことに安心しました。
以下入賞したその他の作品。
世界各国からかなりの数のエントリーがあり、その中でも日本人作品が4〜5点はあった。日本勢はかなり頑張っている方だと感じた。ただ大賞作品はデンマーク人だったか、かなり政治色が強いもので、審査はかなり国際的なバランスが配慮されている印象を受けた。国際コンペはそのような性格を持たざるを得ないのかもしれない。
全体を見て大変興味深かったし、思う所あるけれども長くなるので省略します。
ただ誤解を恐れずに言えば視デのライティングスペースの作品もコンセプトレヴェルでいえば全然負けてないなあという印象は持ちました。
問題は多分、教師を含めてこういう場所に出て行く気になるかどうかなのだと思う。そのつもりならば大学の支援体制も含めて考えなければならないことが沢山あるように思った。
ただ僕の興味はコミュニケーションにあってアートではないから。
そこらへんは今回ムトゥーと一日中歩き回りながら、「いったいメディアアートって何なんだ?」を巡って喧々諤々語り合いました。
ドイツ在住、彫刻家出身の日本人の作品。音を体感する装置。
これは武藤君の同僚の作品。鳥のコミュニケーションを学習する装置。
これはかなり面白い。ことばによる説明は難しいけれども。
デジタル一辺倒ではなくこのようなアナログインタラクティブな作品もある。というかムサビでも実感していることだが、むしろテクノロジー礼賛からアナログ見直しにシフトしているのかも知れない...。
これは従来のメディアアートの王道のような...。すごくかっこいいのだが、それはインターフェイスがものマニアックな所為でもあって...。
肘の骨を通してドレスデン大空襲の音をドナウ川で聞くという、かなりコンセプチュアルな作品。僕自身この間ドレスデンに行ってこのブログにも記したけれど、やっぱり戦争の傷跡を感じずにはいられなかったので、この作者の気持ちはよくわかりました。
この他大賞作品はよく分からなかったので写真を撮り忘れました。(確かこの左奥の作品です)あとアニメーションでかなり素晴らしい作品がありました。
会場のOKセンター。この近くで4人で昼食。
その後アルスエレクトロニカセンターのビルにある19歳以下のメディアアート作品や歴代のメディアアートの常設展などを見る。
そろそろ、メディアアートという言葉の再定義が必要な時期なのだろうと思う。
川沿いにあるレントス美術館に向かう。
常設のクリムト、シーレ、ココシュカの他、写真の歴史をたどる展覧会が行われていた。空間も広く気持ちのよい美術館であった。
オスカー・ココシュカ。先ほどのOKセンターとは彼の名前からとったものである。多分。
日本人科学者の宇宙に紙飛行機を飛ばそうというプロジェクト。息子が強く反応。
その他リンツ芸術大学で行なわれている日本の超有名某国立大学大学院の展示が3フロア借り切りで行われているのを見た。
コメントは遠慮しよう。
その後4人で古本屋をまわりお茶。
一旦ホテルに戻りチェックイン。シャワーを浴びて夕方8時に再び街の広場へ。
夜は国際メディア研究財団をここ20年以上実質的に率いている大野さんも合流して下さり共に食事をする。大野さんには歴代の卒業生が随分お世話になっています。
今回は沢山の刺激を受けました。やっぱり現場には行くものですね。
とにかく何らかの刺激は受けるものです。
普段、出不精がちの自分を反省。
武藤夫婦には一日中お世話になりました。
これからもがんがん頑張って下さい。
ドナウ川沿いを30分ほど息子と歩いてホテルまで帰る。
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