1231 大晦日

ザダールで大晦日の朝を迎える。
宿は旧市街の中にあるので主要な場所は歩いて見てまわれる範囲にある。町の中心はローマ時代に作られた広場(フォーラム)で2100年前のものである。海がとびきり美しいこの場所を古代のローマ人が見逃すはずはないなあと思う。(前にも書いたがここの海は映画監督のヒッチコックや劇作家バーナード・ショーなどが礼賛していたことでも知られる)
そのローマ時代の大理石を使って作った聖ドナド教会を始め、聖マリア教会・修道院、聖ストシャ大聖堂、フランシスコ会修道院などを見る。ミランさんが歩きながら簡単に説明を加えてくれた。ここザダールは昔から位置的に要衝の地であったため、2100年の間、破壊と再興が何度も繰り返された町だということがわかる。
最後に再び海岸のシーオルガンへ。ここでミランさんが作ってくれたサンドウィッチを皆で食べる。
明日はお正月なのだが食料の買い置きに不安を持つ私たちのため、ザダールのマーケットに行き買い出しをする。日本と違い年末の大賑わいといった感じではない。
帰りは行きとは異なり途中まで高速道路を使いリエカまで送っていただく。外気はマイナス5度。
夕方、家に戻ると前回書いた、N本先生が送り直して下さった荷物が無事届いていた。また秋にここリエカに来て頂いた藤田さんからの郵便も届いていた。
N本先生にはミランさんに見せる為に無理をして送って頂いたので、長旅で疲れているであろう、ミランさん、アキコさんであったが、結局は引き止めて映像をしばしの間見てもらい話をすることになった。
その後トレンツさん一家はザグレブに戻った。お疲れさまでした。
2008年の最後をミランさん、アキコさんたちとザダール行きで締めくくる事ができて、本当に良かったと思う。

日本では改めて考えることはなかったことだが、ここクロアチアにいると日本の年末の風習は本当に良いものだなあと思う。
夜は「紅白」も「ゆく年来る年」もない静かな大晦日を過ごす事になった。お酒をちびちび飲みながら藤田さんが送って下さった本を読む。「浅見潚随筆集 新編燈火頬杖」である。まずは巻末に付された藤田さんの書かれた解説を先に読み、それから本文に入る。とにかく日本語に飢えているので活字がまぶしい。コンピュータ上の文字ではどうしようもないものがあるのだ。(この本はウェッジ文庫から出ています。浅見潚の名前はあまり知られていないが、文学に興味のある皆さんにお勧めです!)
夜騒々しいなと思ったらあちこちで花火と爆竹の音が一斉に鳴り出し1時間ほど続いた。それで「今」年越しなのだと気づく。早くに寝ていた妻もその音で起きてきた。正直こんなうるさい正月の迎え方はあんまり乙じゃないなあと思った。やっぱり日本の除夜の鐘のほうがずっと良いと思いながら寒いベランダで花火を眺めこの一年を思う。
翌日マイーダさんは「昨日うるさかったでしょう」と聞かれたので「うん」と言ったら花火や爆竹を鳴らすようになったのはここ10年のことで、◆国から粗悪な花火が入って来てからにわかに流行しているのだと。どこかのまねをしたカウントダウンなんて「最低でしょう」と眉を潜めていた。

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以下聖ドナド教会。

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異国の地で小さな子が上手な日本語をしゃべっているのを聞くと心がなごみます。彼女は日本語、クロアチア語に加えて英語の三か国語を何の苦もなく使い分けます。

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聖マリア教会・修道院

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聖ストシャ大聖堂

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フランシスコ会修道院の回廊

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朝のシーオルガン。ここは階段がハーモニカのようになっていて波の動きがパイプオルガンのように空気を動かして最上段横にある四角い穴から音が出る仕組みである。

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空気が出入りする穴と思われる。

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高速道路が走る山岳地帯は雪である。

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